RECOMMEND

SFAを導入するメリットとは?CRMやMAとの違いも解説!

SFAとは日本語で「営業支援システム」と呼ばれる企業向けICTシステムのひとつです。正式名称は「sales force automation」であり、単語の頭文字をとってSFAと呼ばれています。ここではまず、SFAの概要や普及の背景を紹介します。

営業は、どちらかと言えば属人的な業務が多い領域です。それだけに、効率化や定量化が難しいとされてきました。しかし、ここ10年ほどでSFA(sales force automation)を活用し、営業活動の効率化に努める企業が増えています。その背景には、テレワークの普及やオンライン取引の一般化、インサイドセールスの台頭などさまざまな事情があるようです。また、営業部門にも生産性の向上が求められる時代になったことから、SFAは一層広まっていくと予想されます。ここでは、SFAの概要やメリット、活用方法などを解説します。

SFA(sales force automation)とは?

SFAとは日本語で「営業支援システム」と呼ばれる企業向けICTシステムのひとつです。正式名称は「sales force automation」であり、単語の頭文字をとってSFAと呼ばれています。ここではまず、SFAの概要や普及の背景を紹介します。

SFAの概要

SFAは、営業部門の利益最大化を目的とし、生産性向上や効率化をサポートする機能を持ったICTシステムです。営業部門の一般的な業務(顧客情報の管理、見込み客へのアプローチ状況、商談の状況、売上予測や予算の管理など)などをデジタル化し、管理し、可視化することができます。また、SFAに蓄積された情報が共有されることで、顧客や地域の特性など属人化しがちな営業ノウハウが部門内に広まり、部門全体のパフォーマンスが向上するという効果も期待できます。さらに、日報や請求書など紙資料のデジタル化機能によって、営業担当が雑務に投じる時間を減らすという役割も持っています。

企業向けのシステムは、大きくバックエンド(社員側)とフロントエンド(顧客側)に分類されます。バックエンドの代表格は「ERP」ですが、フロントエンドは「SFA」「CRM」「MA」などが主役です。近年は、ERPやCRM、MAの連携機能を持ったSFAも登場しており、バックエンド・フロントエンド間で密な情報連携を行いつつ、顧客に対して最適なアプローチを実施していく、といった方法がトレンドになっています。SFAはこうしたアプローチの核となるシステムと言えるわけです。

SFAが普及した背景

SFAは1990年代の米国で誕生しました。元々米国では、広大な国土を移動しながらの営業活動に多大なコストが投じられており、経営上の課題となっていました。また、勘や経験など属人的な要素が重視され、ややもするとブラックボックスになりがちな営業活動を定量化し、効率化していこうという動きもあったようです。こうした動きを受けて、1993年には米国のシーベル・システムズ社が世界初のSFAを開発します。ただし、すぐには普及せず、PCの利用が一般化した90年代後半から2000年代初頭にかけて、徐々に認知されるようになりました。日本では、2000年代中盤から本格的に広まり始め、デジタルデバイスの進化やデータドリブン経営の浸透によって年々重要度が増しているという状況です。

SFAの一般的な機能

次に、SFAの機能を具体的に見ていきましょう。SFAの主要な機能は「案件管理機能」「商談管理機能」「行動管理機能」「予実管理機能」「顧客管理機能」「情報共有機能」などです。ちなみに、製品によって呼称や内容に違いがあるため、あくまでも一般論として把握することをおすすめします。

案件管理機能

案件管理機能は、進行中の案件(プロジェクト)の進行状況を可視化し、各フェーズの状況を定量的に把握するための機能です。具体的には、取引先・商談の日付(予定日)・訪問先の場所・取引先担当者の情報・商談内容・商品の価格や数量などが含まれます。時系列形式やスレッド形式で表現されることが多く、ワンクリックで案件の進捗を把握できることが強みです。アナログな営業活動では、営業日報を始めとした報告書ベースで案件の全体感を把握することが多いでしょう。一方、SFAではチャートのように図式化された状態で表現されるため、担当者と上長の間で認識のズレが起こりにくくなります。

商談管理機能

商談管理機能では、商談に特化してさらに具体的な情報を管理します。商談管理に含まれる項目としては、「商談の目的」「商談時間」「過去の商談履歴」「取引先の担当者名」のほか、「提案者と提案書の内容」「こちらから提案した金額」「商談の進捗状況」「次回商談の日時(予定)」などが含まれます。営業活動の最もコアな部分といえる商談をブレイクダウンし、詳細に把握できることが特徴です。

ちなみに製品によっては、優秀な営業担当の商談プロセスをノウハウとして共有する機能もあります。営業活動において、提案の方法や提案書の内容、クロージングのタイミングなどは、個々人の裁量に任されることが多いでしょう。それゆえに属人化しやすく、ノウハウとして蓄積されないという課題がありました。SFAではこれら属人化しやすい要素をデジタルデータに残せる点というで、従来の営業活動と一線を画します。

行動管理機能(活動管理機能)

営業担当の行動を管理する機能です。営業担当の行動は営業プロセスそのものです。これを定量的に管理することで、明確な根拠を持った評価につなげることが可能です。管理項目としては、「アポイント数(コール数)」「訪問数」「提案した商材の数と内容」「商談化率」「受注率」などがあります。

予実管理機能

営業活動のための予算と実績を管理する機能です。一般的には担当者別、チーム別に予算と売り上げを管理する機能が提供されます。これに加えて、商品別・顧客別など複数の断面で予実管理を提供する製品もあります。

顧客管理機能

顧客の情報を管理する機能です。SFAでは「会社名」「所在地」「電話番号」「担当者」「役職」などが管理対象とされます。CRMにも同様の機能がありますが、SFAでは商談の情報や営業担当の情報、名刺管理ツールから取り込んだ情報なども一元化されることが多いです。

情報共有機能

営業チーム内でのリアルタイムな情報共有を促進する機能です。商談の状況や確度、個々人の活動状況、顧客企業の情報、顧客担当者の人事異動情報などが、フィードやタイムラインのような形式で表示されます。また、単一の機能としてではなく、前述の機能の一部として提供されることもあるでしょう。インサイドセールスやチームセリングでは必須機能のひとつです。

SFAとCRM、MAとの違い

近年、SFA・CRM・MAは機能的な融合が進んでおり、カテゴライズしにくい製品も登場しています。しかし、本来これらは「目的」や「対象業務」「対象ユーザー」が明確に異なります。そこで、混同されがちなSFA・CRM・MAの違いについて説明します。

SFAとCRM、MAの違い

では、実際にSFA、CRM、MAを3つの観点から比較していきましょう。

目的

SFA: 営業プロセスを自動化し、効率的に遂行することが主な目的です。

CRM: 顧客との関係を最適化することが主な目的です。また、そのために販売・マーケティング・顧客サービスなど、マーケティングにまつわる情報を統合し、顧客に対するアプローチにつなげていきます。

MA: デジタル領域におけるマーケティング活動の自動化とリードの獲得、ナーチャリング、商談化率の向上などが目的です。

対象業務

SFA: 営業プロセス、見込み客の管理、商談の追跡など、主に営業活動に関連する機能に焦点を当てています。

CRM:コンタクトセンターなどにおけるカスタマーサービス、顧客対応など、企業と顧客とのあらゆる接点が対象です。

MA: マーケティング活動全体を対象にし、リードのトラッキング、電子メールマーケティング、ソーシャルメディア管理、キャンペーンの計画と実施などが対象です。

対象ユーザー

SFA: 営業担当や営業部門の管理者を想定しています。

CRM:コンタクトセンターおよびマーケティング部門の担当者やマネージャーが対象です。

MA: マーケティング部門が対象という点ではCRMと同じですが、MAの場合は特にリードジェネレーションやキャンペーンなどを行うデジタルマーケティングの担当者を対象としています。

SFAを導入するメリット

SFA導入による効果は、属人性の排除や情報共有、ノウハウの蓄積など多岐にわたります。営業部門の業務をシステムに落とし込むことで、効率化やコスト削減、情報共有などが期待できるわけです。ここでは、SFA導入によるメリットをより具体的に解説していきます。

営業プロセス可視化による合理的なアクション

SFAを導入する最大のメリットの一つは、営業プロセスの可視化が進むことです。個々人の活動状況や案件の進捗、顧客とのコミュニケーションが「視覚的に」かつ「定量的に」把握できるため、データに基づく合理的なアクションが可能になります。また、近年は優れた営業担当の行動を標準化してノウハウに昇華する動きが活発化しています。この点においても、営業プロセスの可視化は必須と言えるでしょう。

営業担当のスキル向上

SFAの活用により、営業担当のスキル向上が期待できます。SFAには、商談内容や活動内容、クロージングのタイミングなど、個々人の活動内容が蓄積されます。これを部門全体で共有することで、それまで「経験」や「センス」として語られてきたものが定量化されるわけです。定量的な情報がさらに蓄積されると、誰もが身に着けやすい形=標準化されたスキルになります。

管理コストの低減

SFAでは、さまざまな活動報告がデジタルデータとして一元化されます。情報の在りかは常にSFAですから、各種報告書のチェックや営業担当の行動履歴の管理などにかかるコストを減らすことができるわけです。また、ワークフロー機能を活用することで、承認・決済の労力を削減できる点も見逃せません。

紙資料の削減による生産性向上

SFAの導入により、営業活動における紙資料の使用が大幅に減少します。また、活動報告や商談用資料などの各種ドキュメントがデジタル化されるため、情報検索や共有が容易になるでしょう。これにより、雑用の時間が減ったり、報告漏れ・抜けが減少したりと、生産性の向上が期待できます。

SFAを活用した営業方法とは

SFAが持つ機能の効果を最大限に発揮させるためには、営業手法そのものに対しても改革が必要です。SFAはフィールドセールスやテレアポといった従来型の営業にもフィットします。一方で、より効果を体感しやすい営業方法もあります。ここでは、SFAを活用した営業方法として「インサイドセールス」と「チームセリング」を紹介します。

インサイドセールス

インサイドセールスは、主にオフィス内で電話やオンラインツールを通じて行われる営業手法です。直接顧客を訪れるフィールドセールスの前段階として行われることが多く、デジタルツールを駆使して商品・サービスを提案し、商談につなげていきます。

インサイドセールスはリモートで行われるため、地理的な制約を受けることがありません。遠方の顧客に対しても低コストでアプローチすることが可能です。

インサイドセールスでは、電話・ビデオ会議・電子メールなど、デジタルツールを積極的に活用します。こうしたツールから得られたデータを蓄積し、営業データとして一元化するのがSFAの役目です。SFAに蓄積されたデータを共有することでフィールドセールスとの連携が強化され、商談化率の向上が見込めます。

弊社コールシステム「broad connect」はこちら

チームセリング

チームセリングは、複数の営業メンバーが協力して案件や顧客を獲得する営業手法です。各メンバーはそれぞれ異なった専門性を持ち、メンバー同士が協力して複雑な商談に対応します。

大型の契約を対象とした営業では、顧客企業内のさまざまな人材に対してアプローチする必要がでてきます。また、営業チームのメンバーは個々の活動を行いながら、得られた情報を横展開し、認識の差が生じないように配慮しなくてはなりません。こうした状況では、SFAの持つ案件管理機能や顧客管理機能、情報共有機能が大いに役立ちます。

まとめ

この記事では、SFAの概要や機能、メリット、SFAを活用した営業方法などを紹介してきました。かつては、営業力は資本力(人数)に比例するという考え方が一般的でした。しかしSFAの登場により、少数精鋭型の営業でも効果を挙げやすくなったと言えそうです。SFAの導入コストは製品によってさまざまですが、クラウド型のSFAであれば小規模・少額から始めることができます。営業の生産性向上のために、SFAの活用を検討してみてはいかがでしょうか。