コールセンターの仕事とは?基礎知識や業務の違いもくわしく解説!

多くの企業では、顧客からの質疑応答やクレーム対応、営業活動の一環として、コールセンターを設置しているところも多いでしょう。そんな中、コールセンターの立ち上げを検討している方もいるのではないでしょうか。

今回は、これからコールセンターを立ち上げる方はもちろん、効果的なコールセンター運営の仕方を知りたい方に向けて、コールセンターの仕事にはどのようなものがあるか、コールの種類や運営を成功させるコツなども詳しく解説していきます。

コールセンターの基礎知識

これからコールセンター運営を検討している方は、コールセンターの基礎知識を正しく把握しておくことは必須です。ここでは、はじめにコールセンターとはなにかといったことや、コールセンターとコンタクトセンターとの違いなどについてわかりやすく解説します。

コールセンターとは

コールセンターとは、電話を用いてお客様からの問い合わせ対応や架電を行うためのセンターです。

日本コールセンター協会は、コールセンターについて「顧客や消費者のインバウンドやアウトバウンドの電話応対を行う拠点・窓口のこと」であると定義しています。

インバウンドとは「受信業務」であり、アウトバウンドとは「発信業務」であることから、コールセンターは、電話を受ける・かけるという手段で顧客とやりとりする窓口ということになります。

参考:日本コールセンター協会

コールセンターとコンタクトセンターの違い

コールセンターは電話を利用した顧客対応を中心に行う施設であり、顧客からの電話に応答し、問い合わせや要望に対応することがおもな役割です。

一方コンタクトセンターとは、複数のコミュニケーション手段を利用して、顧客対応を行う施設です。電話やメールやチャットなどの多様なチャネルを活用し、顧客からの問い合わせに対応します。

したがって、コールセンターとは、おもに電話に特化した顧客対応を行い、コンタクトセンターは電話を含む複数のコミュニケーション手段を活用した顧客対応を行う点に大きな違いがあります。

コールセンターの仕事内容

コールセンターの仕事内容は、一般的にインバウンド(受信業務)とアウトバウンド(発信業務)の2つに大きく分類されますが、さらにそこから細かく業務が分かれています。ここでは、インバウンドとアウトバウンドの詳しい仕事内容についてみていきましょう。

インバウンド(受信業務)

  • テレフォンオペレーター(テレオペ)
    電話を通じて、顧客からの問い合わせや要望に対しコミュニケーションをとりながら、情報提供やアドバイス、注文受付などを行うのが仕事です。
  • カスタマーサポート
    顧客からの商品・サービスに関する問い合わせや、顧客からのクレーム・苦情に対応して適切な解決策を提供します。商品・サービスに対する顧客満足度を高めることがおもな目的とされています。
  • テクニカルサポート
     商品・サービスに関する技術的な問題やトラブルに対するサポートを提供する仕事です。技術的なサポートとして、 製品やサービスの使用方法やトラブルに対するサポートを提供します。そのほか、 顧客からの技術的な問題を解決するために、詳細なトラブルシューティングを行います。

アウトバウンド(発信業務)

  • テレフォンアポインター(テレアポ)
    新たなビジネス機会を発見するために、架電リストやデータベースからターゲットとなる見込み客へ電話でアポイントをとります。一般的には、商品やサービスを紹介するために、アポイントを獲得することがおもな目的とされています。
  • テレマーケティング(テレマ)
    テレマーケティングとは、電話を用いたマーケティング手法です。顧客情報やニーズを電話でヒアリングすることがおもな目的とされています。一般的には、アポインターは用意されたトークスクリプトを見て、「はい/いいえ」で回答できるような質問を行い、顧客情報やニーズを聞き出します。
  • インサイドセールス
    インサイドセールスとは、電話やメール、チャットなどのコミュニケーションツールを活用し、非対面営業を行う仕事です。架電リストやデータベース上から、ターゲットとなる顧客へ電話でアプローチします。インサイドセールスは、顧客へ商品の特徴やメリットを伝えるだけでなく、ヒアリングした情報を蓄積し、顧客ニーズの把握や関係構築、案件創出などがおもな目的です。さらに訪問営業前には、BANT情報(※)を引き出すこともインサイドセールスの仕事です。
    (※)BANT情報とは、法人営業において商談相手の見込み度合いを判断する際に用いるフレームワーク。Budget(予算)・Authority(決裁権)・Needs(必要性)・Timeframe(導入時期)の頭文字をとった略語。

コールセンター業務での役割

コールセンター運営を効果的かつ効率的に行うためには、それぞれ役割を決めておくことが重要です。ここでは、コールセンター業務でよく配置されている役割についてご紹介します。

なお、企業や組織の規模によっては、より細かく役割が分かれている場合があります。自社において、どのような役割が必要なのかを事前に検討しておきましょう。

センター長

センター長は、コールセンターにおける最高責任者で、センター全体の運営・管理を担当します。コールセンターの効率性や品質向上に取り組み、業務プロセスの改善を促進します。

おもに、以下のミッションに取り組みます。

  • スタッフの管理、業績管理
  • 予算立案、戦略策定および達成
  • 指標管理による経営や財務管理と課題への適切な支援
  • クライアント対応
  • 他部門連携

スーパーバイザー(SV)

スーパーバイザー(以下SV)は、コールセンター内の各部署やチームを監督・管理します。コールセンターの質の向上がおもなミッションであり、会社の目的実現に向けて、オペレーターのパフォーマンス評価やトレーニングの提供、問題の解決、日常業務の管理などを行います。

またオペレーターが対応できないクレーム対応なども担当します。

おもな業務は以下です。

  • 業務運営管理とコールセンター内の環境整備
  • 業務支援マニュアルの整備、エスカレーション対応
  • 顧客ニーズの収集と把握

リーダー

リーダーはSVを補助します。オペレーターの指導やサポートを行い、チームのパフォーマンス向上や目標達成に貢献します。SVからの指示を受け、それをチームメンバーに伝え、業務がスムーズになるよう進行を図ります。

なおリーダーは、オペレーターに一番近い立場で業務を進めるため、オペレーターとしての経験も必要です。

おもなミッションは以下です。

  • オペレーターの指導とサポート
  • クレーム対応
  • チームの勤怠管理
  • トークスクリプトの作成

オペレーター

オペレーターは、コールセンター業務の実務を担当します。インバウンドやアウトバウンドの電話応対をはじめ、顧客対応や問題解決、注文処理、情報提供などを行います。センター長をはじめ、SVやリーダーからの指示やトレーニングに基づき、業務を進めます。顧客と直接話す機会が多いオペレーターは、丁寧な敬語や電話対応マナーといった基礎的なビジネスマナーが必要です。

コールセンター運営を成功させる7つのポイント

コールセンターの運営を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、コールセンター運営を成功させるポイントを 7つ紹介します。これからコールセンターの運営を検討している方や効果的な運営を行いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

コールセンターの目的を明確にする

コールセンターを効果的かつ効率的に運用するためには、まず目的やビジョンを明確に定義することが重要です。目的が明確であれば、全体の方向性や目標を設定しやすくなります。たとえば、「新規顧客の獲得」を自社の目的とする場合は、アウトバウンドのテレアポに特化し、能動的に顧客へアプローチする必要があります。

また、「顧客満足度の向上」を目指している場合は、カスタマーサポートやテクニカルサポートなどのインバウンド強化を実施するといいでしょう。

KGI、KPIを設定する

目的達成を目指して、コールセンター部門におけるKGIとKPIを設定します。

KGI(Key Goal Indicator、経営目標達成指標)とは、業務において目標達成の度合いを定量的に評価するための指標です。またKPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)とは、目標達成のプロセスを定量的に評価するための指標です。たとえば、KGIに「新規顧客の獲得」を設定した場合、KPIとして「1日のコール件数、獲得件数」など、具体的に定量化した目標を設定します。

KGIの達成には、これらの指標を定期的にモニタリングし、改善していくことが大切です。

組織マネジメントの設計

コールセンターの運営において、組織構造を適切に設計することも重要です。適切な役割と責任を持つマネージャーやSVを配置し、チームやオペレーターの業績を管理・サポートします。明確なコミュニケーションチャネルを確立し、情報の円滑なフローを確保することが大切です。

また組織図を作る際は、どの役職に何名配置するかといったことや、採用やシフト作成、KPIの管理などの業務を誰に任せるかなども考えましょう。

業務プロセスの整備を行う

コールセンターの品質向上には、業務プロセスの整備が必要です。まずは、通常業務をリストアップした上で、各業務の重要性を加味し、業務フローを再構築しましょう。さらに、業務プロセスを整備する一環として、業務マニュアルの作成やトークスクリプトやFAQの作成、エスカレーション対応の手順作成なども行います。

またコールセンターでは、慢性的な人手不足に悩まされることも少なくありません。安定した運営と品質の向上を図るためには、新規採用者を早期に育成し、戦力化できる仕組みづくりが大切です。

教育プログラムを用意する

オペレーターの中には、コールセンター初心者も少なくありません。そのため、新人が顧客対応ができるまでの教育プログラムを用意することも重要です。また、コールセンター内においても、オペレーターは人数が一番多いため、人によってスキルに差が出るのも課題の一つ。オペレーターの応対品質が平準化されるように、スキルに合わせたフォローアップも忘れずに実施しましょう。

スーパーバイザー(SV)の育成に力を入れる

コールセンターの品質を左右するのは、SVにかかっていると言っても過言ではありません。SVは、チームのパフォーマンス向上に欠かせない重要な役割を果たします。優れたSVを創出するためには、リーダーシップスキルやコーチング能力を育成する体制を整えましょう。

また、オペレーターがキャリアアップの選択肢として、SVへの昇進を希望するような職場環境を用意することも重要です。さらには、SVへ昇格後もスキルアップさせていく長期計画があることを明示しておくとより効果的です。

評価制度を設ける

コールセンターの慢性的な課題の一つに人手不足が挙げられます。これらの課題を防ぐために評価制度を設けることも大切です。インセンティブ制度や正社員への登用制度を充実させ、オペレーターがやりがいを保持できる環境をつくりましょう。

またKPI達成の貢献度や、一定の勤続年数に対して表彰する場を設けるなどもおすすめです。オペレーターが「評価されている」と感じられることがモチベーションアップにつながります。これにより、コールセンター内の業務効率や応対品質の向上も期待できます。

まとめ

今回は、コールセンターの基礎知識と運営を成功させるポイントについて解説しました。コールセンターを運営する際は、目的の明確化やKGI・KPIの設定、業務プロセスの整備などに加え、SVの育成などに力を入れることが大切です。これからコールセンター運営を検討している方は、ぜひ今回ご紹介したポイントを押さえた上で、適切で効率的な運営を行っていきましょう。